Product Development Story
製品開発ストーリー
課題の先に、まだ誰も見たことのない答えを。
お客様から寄せられる課題は、一つとして同じものはありません。
TENSHOは、その声をそのまま製品化するのではなく、現場で培った知見と独自の発想を掛け合わせることで、
新たな価値へと進化させてきました。
幾度となく繰り返した試作、乗り越えてきた技術的な壁、そして「あったらいい」を「あってよかった」に変えるための情熱。
ここでは、製品が誕生するまでの知られざる開発ストーリーをご紹介します。
ミッペール開発ストーリー
STORY
01
医療廃棄物処理の未来を変えた挑戦
1990年代初頭。
日本の医療現場は、ある大きな課題を抱えていました。
それは、増え続ける「感染性医療廃棄物」の処理問題です。
透析治療で使用される器具やチューブ、注射器などは、
感染リスクを伴う危険物でした。
しかし当時、その多くは段ボールや簡易容器で処理され、
屋外に放置されるケースも少なくありませんでした。
「本当に、このままで良いのか。」
その疑問から、ミッペールの開発は始まりました。
医療現場の“危険”を
目の当たりにした日
1990年。TENSHOは、医療廃棄物処理の現場に関わる人々との出会いをきっかけに、新しい可能性を模索し始めます。
当時ヨーロッパでは、国際規則「UN-Regulation」に対応した高性能な廃棄容器が普及し始めていました。一方、日本ではまだ十分な対策が整っておらず、医療廃棄物処理の法整備も発展途上でした。
そんな中、透析医療の現場から上がってきた声は切実なものでした。
●感染性廃棄物を安全に運べない
●段ボールでは液漏れや破損が起こる
●サイズがバラバラで処理効率が悪い
●焼却炉に入らない
●清潔感がなく、現場作業者の負担も大きい
特に問題となっていたのが、人工透析器具でした。
透析器具はサイズが一定ではなく、長さも形状も異なる。
しかも感染リスクを伴うため、一般廃棄物と同じ扱いはできません。
「安全に運べる専用容器が必要だ。」
その結論に辿り着くまで、時間はかかりませんでした。
“ただの容器”では意味がない
開発が始まると、次々と課題が浮かび上がります。
求められたのは、単なるプラスチック容器ではありませんでした。
●感染物を確実に密閉できること
●トラック輸送中でも蓋が外れないこと
●落下しても割れないこと
●積み重ねても潰れないこと
●軽量で持ちやすいこと
●焼却処理設備にスムーズに入ること
しかも、医療現場で使われる製品として“清潔感”も求められました。
当時の開発メンバーは、何度も医療現場や廃棄物処理施設へ足を運びます。
現場で見たのは、過酷な作業環境でした。
防護服を着た作業員。大量の感染性廃棄物。積み上げられた危険物。
「もし容器が破損したらどうなるのか。」
その緊張感が、製品開発への責任感をさらに強くしていきました。
最大の壁は「安全性」と
「コスト」の両立
しかし、理想だけでは製品は完成しません。
高強度にすれば重くなる。軽量化すれば強度が不足する。
開発チームを最も悩ませたのが、“肉厚”の問題でした。
当初の構想では、強度を確保するため厚みを持たせる予定でした。
しかし競合製品との価格競争を考えると、コストを下げなければ市場では戦えません。
「安全性は絶対に妥協できない。でも、高すぎても普及しない。」
その葛藤の中で、開発チームは素材や構造を一から見直します。
PE(ポリエチレン)からPP(ポリプロピレン)への変更。
薄肉化による軽量化。強度を維持するリブ設計。積み重ね構造の改良。
わずか数ミリの違いが、性能を大きく左右しました。
何度落としても、壊れない容器へ
開発終盤、チームを苦しめたのが落下試験でした。
医療廃棄物は、運搬中に衝撃を受けることがあります。トラック荷台からの落下も想定しなければなりません。しかし試験では、何度も不合格。
落とせば割れる。
蓋が外れる。
密閉性が保てない。
「またダメか……。」改善、試験、修正。その繰り返しでした。
特に難航したのが、パッキン構造です。密閉性を高めれば蓋が硬くなる。
使いやすさを優先すると密閉性能が落ちる。サイズ、素材。
細かな調整を何度も繰り返し、ようやく求める性能へ辿り着きました。
現場の声から生まれた製品
医療廃棄物処理の
新しいスタンダードへ
1992年。新廃棄物処理法の施行により、日本の医療廃棄物処理は大きく変わり始めます。
安全性への要求は急速に高まり、医療現場では専用容器への切り替えが加速していきました。
その流れの中で、ミッペールは高い評価を獲得。さらに1995年には、医療廃棄物容器登録認定制度にも合格。20L・45Lモデルともに認定を取得しました。それは単なる製品認証ではありません。
“医療現場の安全を支える容器”として認められた瞬間でした。
ミッペールは、机上で生まれた製品ではありません。
医療従事者の声。処理業者の悩み。法改正への対応。安全への責任。
そのすべてと向き合いながら、現場と共に作り上げてきた製品です。
TENSHOは、単に容器を製造したのではありません。
「医療廃棄物を、より安全に処理できる社会」を目指し、挑戦を続けてき
ました。
そしてその想いは、今もミッペールに受け継がれています。
